有料職業紹介事業を始めるには、厚生労働大臣の許可が必要です。
しかし、申請には多くの書類と手続きが必要で、途中でつまずくことも少なくありません。本記事では、必要書類のリスト、スムーズに進めるコツ、よくあるミスを解説し、許可取得を確実に成功させるためのポイントをお伝えします。

適切な準備で効率的に申請手続きを進めましょう!
よくある質問への回答集も用意していますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 有料職業紹介の許可を受けたいけど、何から準備すればいいか分からない
- 必要書類のリストは?
- まずはざっと申請の流れを把握したい
はじめに
有料職業紹介の許可申請を行うにあたり、まずは現状把握が必要です。
・どこで事業を行うのか
・事務所は許可基準を満たしているのか
・新設会社か既存会社か 等々
さまざまな条件によって申請書類の内容は異なります。



許可基準を満たしているかどうかわかりません…



その場合は、必要書類収集の前に一度専門家に相談してみましょう!
用意が必要な書類について


申請にあたり用意が必要な書類一覧です。申請書類を作成する前に用意するものを中心にまとめています。
定款(または株主総会議事録)
- 職業紹介事業を行う旨が記載されていること
定款の事業内容に「(有料)職業紹介事業」の記載が必要です。登記変更と併せて変更手続きを行う場合は、法務局での手続き期間を要するため、少なくとも許可申請予定日の1か月前を目安に完了しておきましょう。



今後「労働者派遣事業」を行うことも視野に入れている場合は、定款変更の際に合わせて記載しておくのもおすすめです。
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 職業紹介事業を行う旨が記載されていること
定款と同じく、事業内容に「(有料)職業紹介事業」の記載が必要です。こちらも少なくとも許可申請予定日の1か月前を目安に完了しておきましょう。
役員や職業紹介責任者が他の会社で役員等を兼業している場合、兼業先の情報が必要になります。兼業先の登記簿謄本または会社情報がわかる書類も準備しておきましょう。
役員(監査役も含む)の住民票
マインバーの記載はなく、本籍地、または国籍及び在留資格記載のものが必要になります。
記載しない→マイナンバー
記載する→本籍地、または国籍及び在留資格記載
役員(監査役も含む)の履歴書
役員全員分の履歴書が必要です。顔写真は不要。
直近の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書
財務状況の証明書類として必要になります。資産要件の判定にも重要な書類です。
会社設立から間もないなど、決算を迎えていない場合は資本金で判断します。会社設立時の貸借対照表が代わりの書類になります。
法人税の納税申告書(別表1及び別表4)
直近の決算書類の一部です。税務署での受領が確認できる書類「受信通知」等とあわせてご用意ください。
法人税の納税証明書(その2 所得金額用)
直近の決算書類の一部です。(その2 所得金額用)が必要になります。
事業所の使用権を証する書類(賃貸契約書など)
契約内容によって以下の書類が必要になります。
【法人所有の場合】建物不動産登記事項証明書
【賃貸借の場合】賃貸借契約書
【転貸借、他法人と同居、住居兼用の場合】
※ご相談ください
事業所のレイアウト図
実地調査で審査する最重要項目ともいえる事業所レイアウト。情報に齟齬がないように確認してください。
- 執務室、面談室のレイアウト
- 共有部のレイアウト(事業所までの経路がわかるもの)
執務室、面談室のレイアウト記載事項
・社名のある場所
・机、椅子(職業紹介責任者の席の記載)
・鍵付きキャビネット



弊所ではレイアウトの見本を配布しています。これでよいのかな?と不安になったらぜひお気軽にご相談ください!
職業紹介責任者の住民票
マインバーの記載はなく、本籍地、または国籍及び在留資格記載のもの。役員が職業紹介責任者である場合は省略可能です。
職業紹介責任者の履歴書
役員が職業紹介責任者である場合は省略可能です。
職業紹介責任者講習会の受講証明書
職業紹介責任者講習会を予約し受講が完了したら、受講証明書が交付されます。
職業紹介責任者は、専属専任が可能な者でなければなりません。
他社で兼務している場合、役員なら専任できる旨の誓約書を提出することでOKですが、勤務形態が正社員の場合は基本的に専任不可のため、職業紹介責任者としては認められません。
その他申請書類
基本的に、情報収集として必要な書類は上記のとおりです。
そのほかに、申請書類として以下の書類作成が必要になります。また、ケースバイケースで追加の書類を求められることがあります。
- 職業紹介事業許可申請書(様式第1号)
- 職業紹介事業計画書(様式第2号)
- 届出制手数料届出書(様式第3号)
- 手数料表
- 業務の運営に関する規程
- 個人情報適正管理規程



社労士事務所に委託する場合はこれらの書類作成はすべてお任せで大丈夫です!ヒアリングしながら必要書類の確認と合わせて進めてくので安心ですね。
手数料
申請時には法定費用として収入印紙と登録免許税の納付が必要になります。
収入印紙 | 5万円 (複数事業所を同時申請する場合、2事業所目からは1事業所につき1万8千円を加算) |
登録免許税 | 9万円 |
※登録免許税は、申請先の労働局を管轄する税務署(東京労働局で申請の場合は芝税務署)の納付用紙で納付します。



納付先を間違えた場合、手続きが煩雑になるので要注意です。ちなみに弊所では納付代行も行っています!
2025年以降の新たな許可条件について
2025年1月1日から、新たな許可条件が追加されました。
- 転職勧奨の禁止(無期雇用の求職者に対し2年間転職勧奨を行わない)
- 求職者への金銭提供の禁止(お祝い金等の提供を禁止)
違反すると、是正指導が行われ、許可の更新が困難になる可能性がありますので注意してくださね。
よくある質問と回答
- 許可の有効期間はどのくらいですか?
-
許可の有効期間は3年間で、更新は5年間です。
- 許可申請の審査期間はどのくらいですか?
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申請先や状況により異なりますが、おおむね3カ月程度かかります。
- 紹介手数料を求職者から徴収することは可能ですか?
-
原則として、求職者から手数料を徴収することはできません。
- 建設業務の紹介はできますか?
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いいえ、有料職業紹介事業では建設業務・港湾運送業務の紹介は禁止されています。
- 許可後に法人の代表者が変更になった場合の手続きは?
-
変更届を労働局へ提出する必要があります。
- 無許可で職業紹介を行った場合の罰則は?
-
6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
- 職業紹介責任者の具体的な業務内容は?
-
求人・求職者管理、苦情対応、手数料管理、法令遵守の指導などが含まれます。
まとめ
有料職業紹介事業の許可申請は、多くの書類と手続きが必要ですが、適切な準備をすればスムーズに進められます。本記事の書類リストを活用し、最新の法改正を意識しながら進めましょう!